親子で話そう、「投資」と「支出」のちがい〜お金の使い方から広がる、未来へのまなざし〜

金融教育

お金は使ったら終わり?それとも、育てるもの?

「お金は使ったらなくなるもの」——子どもにとって、そんなイメージがあるかもしれません。おこづかいをもらって、欲しいものを買って、財布が空になる。それはとてもわかりやすい体験です。

でも、お金には「使って終わる」だけでなく、「使うことで未来につながる」使い方もあります。それが「投資」という考え方です。

投資というと、株や不動産など難しい話を思い浮かべるかもしれませんが、実はもっと身近なところにもあります。たとえば、習い事に通うこと、本を買うこと、道具をそろえること——それらはすべて「未来の自分に向けた投資」と言えます。

この記事では、親子の自然な会話の中で「投資」と「支出」の違いを伝えるためのヒントを、具体的な場面を交えながらご紹介します。

「お菓子と本、どっちを買う?」から始まる会話

    スーパーでおこづかいを握りしめた子どもが、「このお菓子買ってもいい?」と聞いてきたとき。親は「いいよ」「今日はダメ」と答えるだけでなく、こんなふうに問いかけてみることができます。

    「お菓子はすぐ食べちゃうけど、本は長く読めるよね。どっちがいいと思う?」

    この問いかけは、消費の“時間軸”に気づかせるきっかけになります。お菓子は「今の満足」、本は「未来の学び」。どちらも大切ですが、違いを意識することで、「使い方によって、お金の価値は変わる」という感覚が育ちます。

    さらに、「この本を読んだら、どんなことができるようになるかな?」「この道具を買ったら、どんなことに挑戦できるかな?」と話を広げることで、投資の本質——“未来への可能性”——を自然に伝えることができます。

    習い事や体験を「投資」として言葉にする

      子どもが習い事に通っている場合、「月謝って高いなあ」と感じることもあるかもしれません。そんなときこそ、「これは支出じゃなくて、投資なんだよ」と伝えるチャンスです。

      たとえば:

      「ピアノのレッスン代は、ただのお金じゃなくて、未来の音楽の力につながってるんだよ」
      「スイミングスクールに通うことで、体力も集中力も育ってる。これは“自分に投資してる”ってことなんだ」

      こうした言葉がけは、子どもに「学びや経験は価値がある」「お金は未来の自分を育てる道具」という視点を与えます。

      また、親自身が「この本、ちょっと高かったけど、すごく勉強になった」「このセミナーに参加して、仕事のヒントが得られた」と話すことで、投資の考え方を“実感”として伝えることができます。

      「使って終わる」と「使って育つ」の違いを見える化する

        子どもにとって、抽象的な言葉よりも、目に見える例が効果的です。そこで、「支出」と「投資」の違いを、身近なものを使って見える化してみましょう。

        たとえば、紙に2つの円を描いて、「使って終わるもの(支出)」と「使って育つもの(投資)」に分けて、買ったものを書き出してみる。

        ・支出:お菓子、ゲーム内課金、ガチャ、ジュース
        ・投資:本、習い事、道具、体験、貯金

        このワークを通じて、子どもは「同じお金でも、使い方によって意味が違う」ということを視覚的に理解できます。

        さらに、「この1ヶ月で、どんな投資をしたと思う?」「来月は、どんなことにお金を使いたい?」と振り返る時間をつくることで、計画性や目的意識も育ちます。

        「お金は未来の自分を応援する道具」と伝える

          投資の本質は、「未来の自分を応援すること」です。だからこそ、親子の会話の中で、「お金はただの数字じゃなくて、可能性を広げる道具なんだよ」と伝えることが大切です。

          たとえば:

          「この道具を買ったら、もっと絵が描けるようになるね。これは“自分への投資”だね」
          「この本を読んだら、知らなかったことがわかるようになる。未来の自分が喜ぶね」
          「貯金するっていうのも、未来の自分にプレゼントしてるってことだよ」

          こうした言葉がけは、子どもに「お金=今の欲望を満たすもの」ではなく、「お金=未来の自分を育てるもの」という感覚を育てます。

          また、親自身が「この買い物はちょっと迷ったけど、未来のために選んだよ」と話すことで、価値観の共有にもつながります。

          投資と支出のバランスを考える習慣をつくる

            投資が大切とはいえ、すべてを未来のために使う必要はありません。今を楽しむことも、心を満たすことも、同じくらい大切です。だからこそ、「支出と投資のバランスを考える習慣」を親子でつくることが大切です。

            たとえば、月のおこづかいを「使う」「貯める」「育てる」に分けてみる。

            ・使う:今の楽しみ(お菓子、遊び)
            ・貯める:将来のための準備(貯金)
            ・育てる:未来につながるもの(本、道具、体験)

            この3つの視点を持つことで、子どもは「お金の使い方には選択肢がある」「自分でバランスを考えられる」という力を育てていきます。

            お金の話は、親子の価値観を育てる時間になる

            「投資」と「支出」の違いは、単なる経済用語ではなく、「お金をどう使うか」「何を大切にするか」「どんな未来を描くか」という、人生の選択に関わるテーマです。

            親子で自然な会話の中でこの違いを話すことで、子どもは「お金は自分の未来を育てる道具」「使い方によって価値が変わる」という感覚を身につけていきます。

            今日のおこづかいが、明日の自分を育てる。
            そんな視点を持てるようになることが、金融リテラシーの第一歩です。

            PAGE TOP