〜親子で一緒に育つ、これからの学びのかたち〜
子どもがタブレットを持ち帰ってきた日
ある日、子どもが学校からタブレットを持ち帰ってきた。「これ、授業で使ってるんだよ」と言われても、親としては戸惑うこともあるかもしれません。「何に使ってるの?」「ネットのトラブルは大丈夫?」「そもそも、そんなに早くからITに触れさせていいの?」——そんな疑問や不安を感じたことはありませんか?
GIGAスクール構想は、子どもたちの学び方を大きく変える国の取り組みです。けれど、親世代が学校で経験してこなかった教育スタイルだからこそ、「よくわからない」「関わり方がわからない」と感じるのは当然のこと。
この記事では、親として知っておきたいGIGAスクール構想の基本と、家庭でできる関わり方のヒントを5つのポイントに分けてご紹介します。子どもと一緒に学び、育っていくための第一歩として、ぜひご一読ください。
GIGAスクール構想とは?
〜すべての子どもに、ICTを活用した学びを〜
GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想は、文部科学省が2019年から本格的に推進している教育改革の一環です。全国の小中学生に1人1台の端末(主にタブレットやChromebook)と高速ネットワーク環境を整備し、ICT(情報通信技術)を活用した学びを日常的に行えるようにすることが目的です。
この構想の背景には、社会の急速な変化があります。AIやIoT、グローバル化が進む中で、子どもたちが将来直面する課題は、親世代とはまったく異なるものになるでしょう。そんな未来に備えて、学校教育も「知識の詰め込み」から「自分で考え、表現し、協働する力を育てる」方向へとシフトしています。
GIGAスクール構想は、単なる「タブレット配布」ではなく、「すべての子どもに、個別最適な学びと協働的な学びを届ける」ための土台づくりなのです。
何を学んでいるの?どんな使い方?
〜タブレットは“道具”であり、“窓”でもある〜
端末は、教科書の代わりでも、ゲーム機でもありません。実際には、以下のような多様な使い方がされています:
- 調べ学習やプレゼン資料の作成
→ 自分で情報を探し、まとめ、発表する力を育てる - プログラミングや論理的思考のトレーニング
→ Scratchなどのツールで、試行錯誤しながら論理的に考える力を養う - オンラインでの共同編集(Googleドキュメントなど)
→ 他者と協力してひとつの成果物を作る経験 - 学習アプリでの反復練習や自習
→ 自分のペースで学びを深めることができる
また、授業中だけでなく、家庭学習や課題提出にも活用されることが増えています。子どもたちは、タブレットを通じて「学びの窓」を広げ、教室の外でも学び続ける力を身につけているのです。
家庭でできるサポートは?
〜“教える”より“聞く”ことが、いちばんの支え〜
「親がITに詳しくないから、サポートできないかも…」と思う必要はありません。家庭でできるサポートは、技術的なことよりも「関心を持つこと」「話を聞くこと」が中心です。
たとえば:
- 「今日はどんなふうにタブレット使ったの?」と聞いてみる
→ 子どもが自分の学びを言葉にすることで、理解が深まります - ネットの使い方やルールについて一緒に考える
→ 「どんなことが危ないと思う?」と問いかけるだけでも、意識が変わります - 使いすぎや視力への配慮(時間管理・姿勢など)
→ 端末の使い方だけでなく、生活習慣にも目を向けることが大切です
また、家庭のWi-Fi環境や充電場所の確保など、物理的なサポートも忘れずに。親が「使わせる側」ではなく、「一緒に使う側」になることで、子どもは安心して学びに向かうことができます。
よくある疑問とその答え
〜親の不安は、子どもの安心につながる〜
Q:ネットのトラブルが心配です…
A:学校ではフィルタリングや管理ツールが導入されており、基本的には安全な環境で使われています。ただし、家庭での利用時はルール作りが重要です。たとえば「夜9時以降は使わない」「リビングで使う」など、家庭ごとのルールを話し合って決めましょう。
Q:親がITに詳しくないけど大丈夫?
A:大丈夫です。子どもと一緒に学ぶ姿勢が何より大切。「わからないから教えて」と言える親の姿は、子どもにとっても安心材料になります。むしろ、親が完璧である必要はありません。
Q:ゲームや動画ばかり見てしまうのでは?
A:学習用端末には制限がかかっていることが多く、自由にアプリを入れたり動画を見たりすることはできません。ただし、使い方の目的が曖昧になると、子どもも迷ってしまいます。「何のために使うのか」を一緒に確認することが大切です。
子どもとの関わり方のヒント
〜“評価する人”ではなく、“伴走する人”になる〜
GIGAスクール構想は、親子のコミュニケーションのチャンスでもあります。タブレットを通じて、子どもがどんなことに興味を持っているのか、どんなふうに考えているのかを知ることができます。
たとえば:
- 「どんなアプリが好き?」「どんなこと調べた?」と話題にする
- 一緒に調べ物をしたり、プレゼンを見せてもらう
- 「失敗してもいいよ」「やってみよう」と安心感を伝える
親が「評価する人」ではなく、「伴走する人」になることで、子どもは安心してチャレンジできます。そして、親自身も「子どもから学ぶ」ことで、育ち合う関係が築かれていきます。
まずは「聞いてみる」ことから始めよう
GIGAスクール構想は、子どもたちの未来の学び方を育てる大きな変化です。親がすべてを理解する必要はありません。でも、「関心を持つこと」「一緒に考えること」は、子どもにとって何よりの支えになります。
まずは今日、「学校でタブレット、どんなふうに使ってる?」と聞いてみませんか?
その一言が、親子の新しい学びの扉を開くきっかけになるかもしれません。
