子どもがタブレットを使うようになったら、親が気をつけたい5つのこと

GIGAスクール構想

〜“使わせる”ではなく、“育てる”ための視点〜

はじめに:タブレットが家庭にやってきた日

ある日、子どもが学校からタブレットを持ち帰ってきた。
「これ、授業で使ってるんだよ」と言われても、親としては戸惑うこともあるかもしれません。
「何に使ってるの?」「ゲームばかりにならない?」「ネットのトラブルは大丈夫?」——そんな疑問や不安が頭をよぎるのは、自然なことです。

GIGAスクール構想のもと、全国の小中学生に1人1台の端末が配布され、ICTを活用した学びが日常化しています。これは、子どもたちの学び方が大きく変わる転換点であり、親世代が経験してこなかった教育スタイルでもあります。

だからこそ、親が「よくわからない」「どう関わればいいのか不安」と感じるのは当然です。
でも、親が少しだけ視点を変えることで、タブレットは“心配の種”から“親子の学びのきっかけ”へと変わっていきます。

この記事では、子どもがタブレットを使うときに、親として気をつけたい5つの視点を、実践的なヒントとともにご紹介します。


使う時間と使い方のバランスを整える

〜“何時間使ったか”より“どう使ったか”を見よう〜

「タブレットを長時間使うと目が悪くなる」「姿勢が悪くなる」「依存しそう」——こうした心配はよく聞かれます。確かに、長時間の使用は身体的な負担につながる可能性があります。

でも、単に「時間を制限する」だけでは、子どもにとっては納得しづらいもの。むしろ、「何のために使っているか」「どんなふうに使っているか」に目を向けることが大切です。

たとえば:

  • 学習目的なのか、娯楽なのかを区別する
  • 使う前に「何をするか」を決めてから始める
  • 使い終わったら「何を学んだか」「何が面白かったか」を話す習慣をつける

さらに、身体への配慮も忘れずに:

  • 30分に1回は目を休める(遠くを見る、目を閉じるなど)
  • 椅子と机の高さを調整する(首や背中に負担がかからないように)
  • 寝る前の使用は避ける(睡眠の質に影響するため)

親が「使い方の質」に目を向けることで、子どもも自然と意識が育ちます。
「今日は何を調べたの?」「どんなアプリ使ったの?」と聞いてみるだけでも、子どもは自分の使い方を振り返るきっかけになります。


家庭でのルールを“親子で”つくる

〜押しつけるより、話し合って決める〜

タブレットの使い方に関するルールは、家庭ごとに異なります。
「夜は使わない」「リビングで使う」「宿題が終わってから使う」など、ルールを設けることはとても重要です。

でも、親が一方的に決めたルールは、子どもにとっては「押しつけ」に感じられることも。反発したり、隠れて使ったりする原因にもなりかねません。

おすすめは、親子で一緒にルールをつくること。
ルールづくりを“対話の機会”として活用するのです。

  • 「どうしたら安心して使えると思う?」と問いかける
  • ルールの理由を説明する(例:「夜は眠りの質が下がるから」)
  • 定期的にルールを見直す(成長や状況に応じて柔軟に)

このプロセスを通じて、子どもは「自分で決めたルールだから守る」という意識を持つようになります。
また、親子の信頼関係も深まり、タブレットの使い方に対する責任感が育ちます。


ネットの危険性を“怖がらせずに”伝える

〜安心して使うための知識を、やさしく共有〜

インターネットには、便利さと同時に危険もあります。
個人情報の流出、誹謗中傷、詐欺的なサイト、知らない人との接触——子どもが巻き込まれる可能性もゼロではありません。

でも、「怖いから使っちゃダメ」と言ってしまうと、子どもは逆に興味を持ったり、隠れて使ったりすることも。

大切なのは、怖がらせるのではなく、正しく伝えること。
そして、親自身も“わからないことを一緒に調べる”姿勢を持つことです。

たとえば:

  • 「ネットには本物と偽物があるんだよ」と教える
  • 「知らない人からのメッセージは開かない」など具体的な行動を伝える
  • 「このサイト、信頼できるかな?」と一緒に考える
  • 「困ったことがあったら、すぐに相談してね」と伝えておく

こうした関わり方を通じて、子どもは「ネットは便利だけど、気をつけることもある」というバランス感覚を身につけていきます。


タブレットを“学びの道具”として位置づける

〜遊び道具ではなく、未来を育てるツールとして〜

タブレットは、ゲームや動画を見るためのものではなく、「自分で考え、表現する力を育てる道具」です。
親がその位置づけをしっかり持っていると、子どもも自然と使い方が変わってきます。

たとえば:

  • 「今日はどんなことを調べたの?」と聞いてみる
  • 「プレゼン作ったら見せてほしいな」と関心を示す
  • 「一緒に調べてみようか」と共に学ぶ姿勢を見せる
  • 「このアプリ、面白そうだね。どうやって使うの?」と興味を持つ

こうした関わり方は、子どもにとって「親が自分の学びに関心を持ってくれている」という安心感につながります。
そして、タブレットは「親子の学びの窓」へと変わっていきます。


親自身も“わからないことを学ぶ”姿勢を持つ

〜完璧じゃなくていい、一緒に育つことが大切〜

「ITに詳しくないから、子どもに教えられない…」と感じる親も多いかもしれません。
でも、それはむしろチャンスです。

親が「わからないことを学ぶ姿勢」を見せることで、子どもは「学ぶって楽しい」「大人も成長するんだ」と感じるようになります。

たとえば:

  • 「どうやって使うの?教えてくれる?」と聞いてみる
  • 「一緒に調べてみよう」と共に学ぶ時間をつくる
  • 「失敗してもいいよ」と安心感を伝える
  • 「お母さん(お父さん)も、これ初めて知った!」と素直に驚く

親が完璧である必要はありません。むしろ、親も子も“育ち合う”関係が、これからの家庭の学びのかたちです。
その姿勢こそが、子どもにとって最も信頼できる学びの環境になります。


タブレットは“親子の学びのきっかけ”になる

GIGAスクール構想によって、子どもたちの学びのスタイルは大きく変わりました。
タブレットは、ただの道具ではなく、「自分で考え、表現し、協働する力」を育てるための窓です。

でも、その窓を開くには、家庭での関わり方がとても重要です。
親が「使わせる人」ではなく、「育てる人」「伴走する人」になることで、タブレットは“親子の学びのきっかけ”へと変わっていきます。

今日からできることは、ほんの小さな一歩です。

  • 「学校でタブレット、どんなふうに使ってる?」と聞いてみる
  • 「一緒に調べてみようか」と声をかけてみる
  • 「ルール、どうしたらいいと思う?」と話し合ってみる

その一言が、親子の新しい学びの扉を開くきっかけになるかもしれません。
そして、日々の「さんさん」と「ごご」の時間の中で、親も子も、少しずつ育っていくのです。


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